ネバーセイ・ネバーアゲイン』(Never Say Never Again)は1983年公開。 007シリーズ第4作目『007 サンダーボール作戦』を、アーヴィン・カーシュナー監督がリメイクしたアメリカのスパイアクション映画

概要[編集 | ソースを編集]

初代007を演じたショーン・コネリーが、久々にボンド役に復帰し話題となった作品。おもな撮影地はバハマ、フランス、スペイン、イギリスなど。

本作の題名「ネバーセイ・ネバーアゲイン(「次はない」なんて言わないで)」は、ミシェリーン・コネリー(コネリーの妻)が「もうボンドを演じないなんて言わないで(ネバーセイ・ネバーアゲイン)」と言ったことから採られたものである[2] 。但し、ボンド役の再演は一度きりと思って出演したショーン・コネリー自身は劇中ラストで、「再び任務に就いて欲しい」という依頼に「二度とごめんだ!(ネバーアゲイン)」と答える事で上手く纏めている。

原作は、イアン・フレミング、ケヴィン・マクローリー、ジャック・ウィンティンガムの共同執筆による映画化用脚本「James Bond of the Secret Service」だったが、フレミングが2人に無許可で、この脚本を元に「007 サンダーボール作戦」として小説化。これに怒ったマクローリーは訴訟を起こし、裁判は和解に。映画化権を取得したマクローリーは、ワーナー製作による007映画の制作を発表するが、プロデューサーのブロッコリがマクローリーと交渉し、「007 サンダーボール作戦」の製作としてマクローリーの名をクレジットさせる代わりに以後10年間は、マクローリーによる007映画の製作はしないことで交渉は成立した。そして、10年後にマクローリーは、ショーン・コネリーと共同で「007 サンダーボール作戦」のリメイク版「WARHEAD」の脚本を執筆。映画化に乗り出したが、イオン・プロ側と訴訟となり、オリジナルとストーリーが大きく異なることで、敗訴。しかし、マクローリーは、オリジナルと異ならないように脚本を書き直し、ジャック・シュワルツマンと共に「ネバーセイ・ネバーアゲイン」を製作した。

旧来のイオン・プロ製作の007映画ではないためにタイトルに「007」が入らないことを始め、お馴染みのオープニングのガンバレル・シークエンスや「007のテーマ」は劇中一切流れない。音楽はフランス映画「シェルブールの雨傘」を手がけたミシェル・ルグランが担当している。本作が公開された1983年には〝本家〟007シリーズとしてロジャー・ムーア主演「007 オクトパシー」も公開され、世界興行成績は「オクトパシー」が第2位で本作は第4位だったが、2本の007映画が上位を占める結果となった[3](日本では「オクトパシー」が1983年度の外国映画配給収入で第4位[4]、本作は1984年度の外国映画配給収入で第6位[5]であった)。

キャスト面では、ボンドの盟友フェリックス・ライター役に、作品初めて黒人バーニー・ケイシーが登用されたほか、ちょっと間の抜けた英国大使館員役で、「ミスター・ビーン」などのコメディ作品で知られるローワン・アトキンソンが出演している。

公開当時はサウンドトラックがリリースされておらず、映画音楽番組では映画からの録音が直接使用された。1995年にイギリス・シルバースクリーンレコードからサントラがリリースされている。また、日本限定でサウンドトラックがセブンシーズ(キング)レコードよりLPとカセットで発売されていた。後年LPをそのまま収録されたCDがキングレコードより発売されたが、短期間で廃盤になり、オークション等で高値が付いている。なお、同アルバムに収録されているエンディング・テーマは劇中と同じバージョンであり、1995年にイギリスでCD発売されたものと異なっている。また、ラニ・ホールの主題歌と、ソフィ・デラの歌う挿入歌「愛のシャンソン」はシングル・カットされた。

ボンドの秘密兵器としては、ボンドカーは今回登場せず、その代わりにヤマハのオンロードタイプのオートバイ(XJ650ターボ)に特殊装備を備えた「ボンドバイク」が登場する。また特殊装備としては、ロケット万年筆、水中スクーター、XT7ロケット(アメリカ海軍開発)が登場した。

敵役のラルゴは、「サンダーボール作戦」と異なり、かなり偏執狂的なキャラクターとなっている。ラルゴとボンドがカジノで対決するのはカードゲームではなく、負けるとジョイスティックに高圧電流が流れるという命がけの核戦争ゲームで、スペイン、日本、USAを獲り合って争うという趣向となっている。

イオン・プロ007シリーズとの関係[編集 | ソースを編集]

ケヴィン・マクローリーに力を貸し、本作の製作に携わっていたワーナーのジョン・キャリーは、その後ワーナーを辞め、MGMの傘下になったユナイテッド・アーチストの社長になる。1995年、本家イオン・プロの007シリーズの新ボンドにピアース・ブロスナンを抜擢し「ゴールデンアイ」を大成功させる。人気に陰りの見えていた90年代の007シリーズはこれで息を吹き返した。さらにキャリーはその後、1996年にソニー・ピクチャーズに引き抜かれ、マクローリーと一緒に「007サンダーボール作戦」の3度目のリメイクになる「Warhead」の企画をまたも立ち上げるが、今度は裁判の結果、権利が認められなかった。この裁判の結果としてイオン・プロは、ソニー配給で「カジノ・ロワイヤル」製作の権利というオプションを手に入れる。キャリーはソニー・ピクチャーズの社長に就任し「カジノ・ロワイヤル」を大ヒットさせる[6]。この関係で、とりわけ「ネバーセイ・ネバーアゲイン」と「ゴールデンアイ」には演出やプロット、キャラクターや小道具の設定などに共通点が多い。

マクローリーが本作のために契約を結んだジャック・シュワルツマンはプロデューサーであると同時に、興業界の弁護士としての経歴を持っていたため、法律上の問題を巧みにクリアできた。シュワルツマンは「今まで他のボンド映画が作られていなかったとしても、本作には何の変わりもない」と、本作がイオン・プロの007シリーズの影響をまったく受けない、独立したオリジナル作品であることを強調するコメントを残している[7]

 ところが実際には本作は無条件で製作を許されたわけではなく、イオン・プロとの水面下での折衝があり、アルバート・ブロッコリとイオン・プロは「ネバーセイ・ネバーアゲイン」の興行収入の18パーセントを得る契約になっていた事が、ショーン・コネリー自身の発言で明らかにされた[8]。この合意の結果、当初のシュワルツマンの主張と完成後の映画には明らかな違いが生じた。エドワード・フォックス演じるMが前任者に触れたり、ボンドがしばらく現役を退いていたことが示されるなど、イオン・プロ版ショーン・コネリー主演作の続編的ニュアンスが仄めかされている。また、原作にはないブロフェルドの愛猫の登場、Qの秘密兵器工房とQのキャラクター(役名および俳優は別人)等、イオン・プロが発想したアイディアを拝借しパロディ化している。狭い路地や階段、運河を生かしたバイク・チェイスも、元々は「007ムーンレイカー」のベニスのシークエンスで撮影される予定だったアイディアの没ネタである。

公開に合わせて来日したショーン・コネリーは記者会見の席で、本作の出来を質問され「100点満点中60点」だと発言した。会見に同席した戸田奈津子が通訳した模様も含め「2時のワイドショー[9]等で放送された。同じ記者会見の席で、コネリーはその点数の理由として「スタッフがボンド映画の製作に不慣れであったこと」を挙げている。


ストーリー[編集 | ソースを編集]

世界は冷戦真っ只中。ジェームズ・ボンドの007復帰トレーニングから物語は始まる。 マティーニフォアグラキャビアで怠惰になった身体を鍛えなおすことを新着したMに命令された007。たまたま本部から斡旋されたロンドン郊外の治療施設でボンドはスペクターの女殺し屋ファティマ、そしてアメリカ空軍に所属するジャックの秘密特訓を目撃する。

その数日後ジャックは米空軍より核弾頭搭載巡航ミサイルを2機盗むことに成功したのだった。

この事件を追ったボンドは地中海へ。 彼がマークするのは世界的な大富豪のラルゴ。彼は世界の海を豪華クルーザー「空飛ぶ円盤号」(クルーザー全長87m、アドナン・カショーギ所有)で移動しながら慈善活動を行なうビジネスマン。しかし裏の顔は秘密結社スペクターのNo.1 (スペクターNo.2=首領は白猫を抱くブロフェルド)なのだった。彼のそばには愛人のドミノがいた。ジャックの妹であるドミノはジャックとの再会を心待ちにしていた。しかし、ジャックは・・・

地中海がかもし出す映像美の中、ボンド・ラルゴ・そしてドミノという3人のキャラクターの運命が回り始める。

スタッフ[編集 | ソースを編集]

キャスト[編集 | ソースを編集]

日本語吹き替え[編集 | ソースを編集]

役名 俳優 テレビ版 WOWOW版 機内版
ボンド ショーン・コネリー 若山弦蔵
ドミノ キム・ベイシンガー 田島令子 平澤由美 戸田恵子
ラルゴ クラウス・マリア・ブランダウアー 内海賢二 佐々木勝彦 若本紀昭
ブロフェルド マックス・フォン・シドー 中村正 永田博丈 大久保正信
ファティマ バーバラ・カレラ 鈴木弘子 坪井木の実 中西妙子
Q アレック・マッコーエン 石森達幸 井上文彦 田口昴
ライター バーニー・ケイシー 田中信夫 西凛太朗 玄田哲章
M エドワード・フォックス 羽佐間道夫 田原アルノ 加藤精三
フォーセット ローワン・アトキンソン 村山明 岩崎ひろし 谷口節
翻訳:額田やえ子 、演出:春日正伸

参照[編集 | ソースを編集]

  1. 1.0 1.1 The Numbers
  2. IMdb』より
  3. WorldwideBoxoffice.com
  4. キネマ旬報DB
  5. キネマ旬報DB
  6. 「ハリウッド・ビジネス」(ミドリ・モール著 文春新書)
  7. 「ジェームズ・ボンドへの招待」ジェームズ・チャップマン著、徳間書店
  8. 「ショーン・コネリー」ジョン ハンター著、池谷律代翻訳、キネマ旬報社
  9. 読売テレビ制作・日本テレビ系列

関連項目[編集 | ソースを編集]

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