ジェームズ・ボンド Wiki
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007 ゴールデンアイ』(ダブル オー セブン-、GoldenEye)は1995年公開、マーティン・キャンベル監督のアメリカ合衆国イギリス製作のアクション映画007シリーズ第17作。ジェームズ・ボンド役としてピアース・ブロスナンが演じた初の作品である。すでにマンネリ化していたシリーズを冷戦後の設定でその人気を復活させた作品として現在でも評価が高い。

当時、イアン・フレミングの007原作は短編『ナッソーの夜(原題:Quantum of Solace、2008年に「007 慰めの報酬」として映画化)』 だけが残っていたが、この映画では原作として使用されなかった。また、本作は007小説の後継者とされたガードナーが、前作に続き小説を執筆している。

007シリーズとしては初のドルビーデジタル作品でもある。

ストーリー[]

ソ連崩壊前、ソ連化学兵器工場に006ことアレック・トレヴェルヤン(ショーン・ビーン)と共に侵入したジェームズ・ボンドだったが、責任者のウルモフ大佐(ゴットフリード・ジョン)により006が拘束されてしまう。ボンドはやむなく彼を見捨て秘密工場を爆破し、任務を達成した。

それから9年後、ボンドはモナコロシアの犯罪組織「ヤヌス」のメンバーであるゼニア・オナトップ(ファムケ・ヤンセン)をマークしていたが、彼女と将軍になっていたウルモフは、対電磁波装甲を施したNATOの最新鋭戦闘ヘリコプタータイガーを、デモンストレーションを行っていたフリゲート艦上から奪取・逃走する。

その後ゼニアとウルモフは、ロシアの秘密宇宙基地に現れ、ソ連時代の秘密兵器「ゴールデンアイ」を起動させ、兵士と職員を皆殺しにする。女性コンピューター技術士のナターリア・シミョノヴァ(イザベラ・スコルプコ)は、奇跡的に生き残り脱出した。

ボンドは「ゴールデンアイ」とヤヌスの関係の手掛かりを求めてサンクトペテルブルクへ行き、そこで9年前殺されたはずのアレックと再会して、意外な真実を知る。

スタッフ[]

  • 監督 - マーティン・キャンベル
  • 製作総指揮 - トム・ペブスナー
  • 製作 - マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
  • 原案 - マイケル・フランス
  • 脚本 - ジェフリー・ケイン、ブルース・フィアスティン
  • 音楽 - エリック・セラ
  • 主題歌 - ティナ・ターナー
    • 作詞・作曲 - ボノジ・エッジ
  • エンディング・テーマ「エクスペリエンス・オブ・ラヴ」 - エリック・セラ
    • 作詞・作曲 - エリック・セラ、ルパート・ハイン
  • 劇中歌 "Stand by Your Man" - ミニー・ドライバー
    • 作詞・作曲 - ビリー・シェリル、タミー・ウィネット
  • 撮影 - フィル・メヒュー
  • 編集 - テリー・ローリングス
  • プロダクション・デザイン - ピーター・ラモント
  • 美術 - ニール・ラモント
  • 特殊効果 - クリス・コーボルド
  • ミニチュア効果 - デレク・メディングス
  • メインタイトル・デザイン - ダニエル・クラインマン

キャスト[]

宇宙局長官
国防大臣

興行成績[]

ピアース・ブロスナンの第1作となった本作は、1995年の映画の世界興行成績で第3位の約3億5000万ドル(資料により若干相違がある)で、インフレ率を勘案しない場合、過去最高だった『ムーンレイカー』の約2億1000万ドルを上回った。日本では1996年度の外国映画配給収入で第10位であった。

キャラクター、キャストなど[]

  • ロジャー・ムーアの007シリーズ後期から評価も人気も頭打ちになっていたが、本作ではサンクトペテルブルク市内の戦車での市街戦など見所が多数あり、ボンド役もピアース・ブロスナンへ交代したことから、前述の通り本シリーズの人気は復活、以降3作のいずれもヒットを記録している。ブロスナンは、『007 リビング・デイライツ』の際にもボンド役をオファーされていたが、『探偵レミントン・スティール』の契約が残っており受けることができず、本作で出演を果たした。しかし、本作でのボンド役の第1候補はリーアム・ニーソンで、アクション映画に惹かれないという理由で断っていたことが後に明らかとなった。
  • ファムケ・ヤンセン演じるオナトップは歴代ボンドガールと違い、最期までボンドの魅力に魅入られず敵であり続けた。それ故タフさでは彼女がナンバー1という声もある。
  • 本作よりM役がジュディ・デンチに交代され、マニーペニー役もサマンサ・ボンドに代わった。Mが女性になった理由は、1990年代に実際のMI5MI6ではない)のトップが女性だと判明し、大ニュースになったからである。
  • 前任のMはコニャック党だったが、彼女はバーボン党。
  • ジュディ・デンチは、1998年の「恋に落ちたシェイクスピア」でアカデミー助演女優賞を受賞した。過去、オスカー受賞者をキャスティングしたこと(クリストファー・ウォーケンハル・ベリーら)はあるが、007シリーズ出演以降、アカデミー賞を受賞したのはジュディ・デンチショーン・コネリーベニチオ・デル・トロ(「消されたライセンス」に出演)の3人[1]
  • 脇役には大物ではなく地味でもひと味ある俳優をというのがシリーズの伝統だが、ジュディ・デンチはこの後アカデミー賞やトニー賞を受賞、毎年のようにこうした賞にノミネートされる、現代を代表する大女優となってしまった。またその功績によりイギリス王室から「デイム」の称号まで許されている。それでも本人はボンドシリーズの大ファンということで、毎回M役のオファーは二つ返事で受けているという。
  • 当初、アレック・トレヴェルヤン役にはアンソニー・ホプキンスが考えられていた。
  • ティナ・ターナーが歌った主題歌「ゴールデンアイ」は、U2ボノジ・エッジが作詞・作曲した。
  • 007シリーズで幾度も特殊効果を担当してきたデレク・メディングスは、本作撮影終了後に死去した。このため、本作はエンド・クレジットにメディングスへの献辞が記されている。

秘密兵器など[]

  • BMWZ3ロードスター)がボンドカーとして初めて使われた。使用されたZ3は、日本では5ナンバーサイズに該当する前期型である。以下のものを装備しているが、劇中での目立った活躍はない。
    • 全方向レーダー。
    • 自爆装置。
    • ヘッドライトの裏側にスティンガーミサイル
    • 制動用パラシュート。
  • アストンマーチン・DB5(ナンバー:BMT214A)がボンドのプライベートカーとして登場。以下のものを装備。
    • アルパインのカーコンポ。送信された写真のプリントアウトや、マニーペニーからの伝言の受信が可能。
    • コンソール・ボックスがクーラー・ボックスになっている。ボンドはシャンパン(ボランジェ・グランダネの1988年)を冷やしていた。
  • 本作から腕時計のタイアップ・メーカーがオメガとなり、「シーマスター ダイバー 300M」が使用された。鉄板をも焼き切るレーザートーチ機能を備える。また、仕掛けた爆薬を遠隔操作で時限爆破させることもできる。『ムーンレイカー』で使用されたセイコーの時計では、爆薬と時計本体がワイヤーで結ばれていたが、今回はワイヤレスによる起動が可能になっている。なお、このシーマスターは支給品であり、006も9年前にしていた旧型を、引き続き愛用していることになっている[2][3][4]
  • 銃。ダムからのバンジージャンプの際、地面にワイヤーを打ち込み反動を防ぐ。また、レーザーを発射し鉄板を焼き切る。
  • 男性用革ベルト。バックルに内蔵したワイヤーを発射しぶら下がることが可能。
  • パーカー・ジョッター・ボールペン型C-4手榴弾。ノック3回で4秒信管が作動。もう一度3回ノックすると解除される。
  • この他、Qの研究室には以下のものが登場。
    • Qが足にはめたギプスがロケット弾を発射。
    • BTブリティッシュ・テレコム)の電話ボックス。電話を掛けようとすると内部がエアバッグで充満し押し込められる。
    • ティートレー型X線書類スキャナー。
    • リクライニングしようとすると、座った人間を空中へ飛ばす椅子。
  • ゴールデンアイ。旧ソ連の衛星兵器。核攻撃に対する報復用。電磁パルスを発射し、あらゆる電子機器を使用不能にする。
  • ユーロコプター・タイガー・ヘリコプター。ステルス機能を備え、あらゆる電子的妨害(無線妨害や電磁波による干渉)に対抗できるプロトタイプ。ゼニアとウルモフがデモ機を盗み出す。
  • 旧ソ連ミサイル列車。ヤヌスの移動用本部。脱出用ヘリコプター搭載。
  • ブリティッシュ・エアウェイズの定期便のボーイング757でロンドンからサンクトペテルブルクへ移動した。

主題歌[]

前作に続き、ベテランR&Bシンガーであるティナ・ターナーが起用され、同タイトル曲を歌った。イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位10位と健闘したが、アメリカでは、「ビルボード」誌R&Bチャートで最高位89位。また、同サウンドトラック・アルバムは、アルバム・チャートで最高位180位だった。

その他[]

  • 「ゴールデンアイ」は原作者イアン・フレミングジャマイカの別荘名である。
  • ボンドの所属組織は前作まで英国秘密情報部(O.H.M.S.S.:On Her Majesty's Secret Service)などと呼ばれ、ユニバーサル貿易(Universal Exports)という会社をカムフラージュに使用していたが、本作から実在のMI6(正式にはSISであるが)となり、本部の外観の映像も、ロンドンのヴォクスホールにある実際のMI6本部のものが使用されるようになった。
  • 本作冒頭でボンドはソ連アーカンゲル(アルハンゲリスク)の化学兵器工場に潜入する。ダムのロケは、スイス、ティチーノ州のヴェルザスカ・ダムで行われた。ここでボンドが決行したバンジージャンプは、実際にスタントマンのウェイン・マイケルズがジャンプを行って撮影された。
    • 工場を脱出したボンドは、バイク(カジバ・W16)で飛行機(ピラタス・PC-6)を追い、断崖からダイブして乗り移る。このシーンはスイス・アルプスでロケされ、実際にスカイダイバーのジャック(ズー)・マルニュイがスタントを行っている。
  • オープニング・テーマ終了後、ボンドはDB5でフランスのチュリニ峠のワインディング・ロードを走行し、ゼニアのフェラーリ・F355・GTSとカーチェイスを繰り広げた後、モナコに到る。
    • ボンドはカジノ・ド・モンテカルロでゼニアとバカラをした後、アントワーヌ砦から彼女の行く先を観察する。
    • ゼニアとウルモフは、エルキュール港に停泊していたフランス海軍フリゲート艦ラファイエットからタイガー・ヘリを奪取する。
  • ソ連崩壊により、シリーズで初めてロシア国内(サンクトペテルブルク)でのロケが実施された。しかし、実際には多くのシーンがロンドンなどで撮影されている。
    • ロシア国防省の会議が行われた建物は、サンクトペテルブルクの宮殿広場にある旧参謀本部で、向かいに見えるのはエルミタージュ美術館である。
    • ボンドはブリティッシュ・エアウェイズ828便でサンクトペテルブルク空港に到着するが、その建物として使われたのはロンドン郊外のエプソム競馬場である。余談だがこのエプソム競馬場ではダービーやオークスが行われる
    • ウェイドの車(モスクビッチ)が故障したシーンの撮影は、ロンドンのサマセット・ハウス前で行われた。ここは冬にはスケートリンクになる場所である。
    • ボンドは拉致されたナターリアを追うため、ロシア陸軍の戦車を奪う(T-72らしく見せているが、撮影に使用されたのはT-54)。この場面のロケ地はサンクトペテルブルクの砲兵博物館で、多数の戦車や兵器が展示されている。
    • 戦車に乗ったボンドは市街でのカーアクションを繰り広げるが、破壊される建物はセットである。途中、ペリエのトレーラーを大破させ、路上に缶を散乱させる。
    • ヤヌスのミサイル列車の走行シーンは、イギリスのネーン・バレー鉄道で撮影された。同鉄道は、『オクトパシー』の列車アクション・シーンでも使われている。
  • ボンドはキューバ潜入のためプエルトリコに渡り、ウェイドにセスナ172型機を手配してもらう。ボンドとナターリアの海岸のシーンは、ラグナビーチで撮影された。
  • キューバにあるヤヌスの基地は、プエルトリコのアレシボ天文台でロケされた。ゴールデンアイをコントロールするパラボラアンテナは、実際は電波望遠鏡である。
  • ブロスナン着用のテーラード・スーツは、ブリオーニ。
  • IBMとのタイアップで、本作に登場するパソコンは同社製のものが使用されている。ナターリアは、同僚のボリスとEメールで連絡を取るため、サンクトペテルブルクのIBMショップを訪れる。
  • 「ゴールデンアイ・アルティメット盤」DVDはイギリスでは、初の「uncutバージョン」でリリースされた。イギリスでは、冒頭のアレックの銃殺シーンと、オナトップのナターリャへの頭突きシーンが映倫規定に触れ、一部カットされ、「PG-12」規定で公開されたが、アルティメットDVDではこの2カットが追加され、規定も「PG-12」から「R-15」に格上げされた。この規定変更は「美しき獲物たち」でも「PG-12」から「R-15」へランクが改定された。日本盤も同様の「uncutバージョン」。しかし、日本で既に発売されたDVD「ワーナーホームビデオ版」「ゴールデンアイ(特別編)」はマスターがアメリカ公開版だったため、「アルティメット版」と同じuncutバージョンで収録されていた。
  • ファムケ・ヤンセンアラン・カミングは『X-MEN2』でも共演している。
  • 2010年4月、WOWOWハイビジョン画質にて完全放映された。

日本語吹き替え[]

役名 俳優 ソフト版 テレビ版
ボンド ピアース・ブロスナン 神谷明 田中秀幸
アレック ショーン・ビーン 小川真司 磯部勉
ナターリア イザベラ・スコルプコ 塩田朋子 日野由利加
オナトップ ファムケ・ヤンセン 弘中くみ子 小山茉美
ウルモフ ゴットフリード・ジョン 西村知道 金尾哲夫
グリシェンコ アラン・カミング 坂口哲夫 牛山茂
M ジュディ・デンチ 此島愛子 森田育代
マニーペニー サマンサ・ボンド 加藤優子 加藤優子
Q デスモンド・リュウェリン 糸博 田口昂
ズコフスキー ロビー・コルトレーン 島香裕
ジャック・ウェイド ジョー・ドン・ベイカー 青森伸 島香裕
デミトリ・ミシュキン チェッキー・カリョ 稲葉実 糸博
ビル・タナー マイケル・キッチン 小島敏彦 福田信昭
  • ソフト版 - ビデオ、2006年11月22日発売 DVD アルティメット・コレクション、テレビ東京『木曜洋画劇場』
翻訳 - 佐藤一公、演出 - 福永莞爾
  • テレビ版 - テレビ朝日『日曜洋画劇場』、日本テレビ『金曜ロードショー』
翻訳 - たかしまちせこ、演出 - 福永莞爾、調整 - 山田太平、制作 - ブロードメディアスタジオ

ゲーム[]

  • 1997年に発売されたNINTENDO64版ソフトとして『ゴールデンアイ 007』が発売され、世界合計の出荷本数800万本を越えた。
  • 1996年にはセガからピンボールで販売。
  • 2005年にプレイステーション2ゲームキューブニンテンドーDSでリリースされた「ゴールデンアイ ダーク・エージェント」は、ゼニア・オナトップを含む歴代007シリーズのキャラクターが登場するものの、映画版とはストーリー上は無関係となっている。
  • 2010年にはWii版が同名タイトルで販売。上記64版とは開発元が異なり、時代背景からシステムまで異なる。後に、DS版、PS3・XBOX360版(後者2つはGoldenEye 007: Reloadedと改題)が販売される。

参照[]

関連項目[]

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