『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』(ダブルオーセブン ワールド・イズ・ノット・イナフ、The World Is Not Enough)はマイケル・アプテッド監督のスパイアクション映画。1999年に公開。007シリーズ第19作。日本での公開は2000年2月5日。2024年現在、東宝洋画系にて公開された最後の007映画となっている。
ストーリー[]
ボンドは、石油王のロバート・キング卿に返金される大金を奪取する事に成功。だが、その大金には爆弾が仕掛けられ、キング卿が付けていたピンは起爆装置に摩り替えられていた。キング卿がMI6内で大金を確認すると同時に爆弾が起爆。キング卿は爆死した。ボンドは犯人と思われる女暗殺者を追うが、激しいボートチェイスの末、女暗殺者は気球と共に自爆する。
真犯人は009に銃弾を頭に撃ち込まれるも死なず、そのせいで痛みを感じない体となった不死身のテロリスト「レナード」だと睨んだMI6は、キング卿の娘であり、レナードに誘拐された経験があるエレクトラ・キングが次に狙われると判断。ボンドが、彼女の警護にあたった。
そんな時、レナードによって核弾頭が盗まれ、キング社の石油パイプラインにその核弾頭が仕掛けられる。ボンドは、科学者のクリスマス・ジョーンズや元KGBのヴァレンティン・ズコフスキーらと協力しながら、レナードを追ううちにレナードの背後に潜む本当の黒幕と石油独占計画を知る。
スタッフ[]
- 監督 - マイケル・アプテッド
- 製作 - マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
- 原案 - ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド
- 脚本 - ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、ブルース・フィアステン
- 音楽 - デイヴィッド・アーノルド
- 主題歌 - ガービッジ
- 撮影 - エイドリアン・ビドル
- 編集 - ジム・クラーク
- プロダクション・デザイン - ピーター・ラモント
- 美術 - ニール・ラモント
- 特殊効果 - クリス・コーブルド
- 視覚効果 - マラ・ブライアン
- メインタイトル・デザイン - ダニエル・クレインマン
キャスト[]
- ジェームズ・ボンド - ピアース・ブロスナン
- エレクトラ・キング - ソフィー・マルソー
- ボンドガールの一人。石油王キングの娘。過去にレナードにより誘拐され自力で脱出した経緯がある。
- ロバート・キング - デヴィッド・カルダー
- 石油王。エレクトラの父。
- クリスマス・ジョーンズ - デニス・リチャーズ
- ボンドガールの一人。核物理学者。
- ヴィクター・ゾーカス(通称:レナード) - ロバート・カーライル
- エレクトラの石油パイプラインを狙うテロリスト。
- ヴァレンティン・ズコフスキー - ロビー・コルトレーン
- カジノを営むロシアン・マフィア。元KGB。
- ブル - ゴールディ
- 金歯の男。ズコフスキーの部下。エレクトラ側に内通する。
- M - ジュディ・デンチ
- ボンドの上司。
- Q - デスモンド・リュウェリン
- R - ジョン・クリーズ
- マニーペニー - サマンサ・ボンド
- タナー - マイケル・キッチン
- カジノの客 - 森川美穂
- ドクター・ウォームフラッシュ - セレナ・スコット・トーマス
- MI6の医師。ボンドの恋人。
- アーコフ博士 - ジェフ・ナットール
興行成績[]
本作は1999年の映画の世界興行成績で第8位を記録し、インフレ率を考慮しない場合、前々作の『007 ゴールデンアイ』を超えるシリーズで過去最高の興行成績となった。
主題歌[]
アメリカのロック・バンド、ガービッジが起用され主題歌を担当した。(ヴォーカルのシャーリー・マンソンはイギリス出身)イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位11位を獲得しているが、アメリカではチャート入りを果たせなかった。同サウンドトラック・アルバムもチャート入りを逃している。
その他[]
- 本作は、メインのボンドガールが死亡する数少ない作品である(他に『女王陛下の007』、『カジノ・ロワイヤル(2006年版)』でもメインのボンドガールが死亡する)。
- シリーズの中では、やや複雑なストーリーとなっている。
- 本作はメトロ・ゴールドウィン・メイヤー75周年記念作品であった。
- 劇中でQは引退することをボンドに告げ、Rを紹介して舞台を去るが、これはQを演じるデスモンド・リュウェリンが年齢を理由に俳優業からの引退を表明したため。ところが、撮影終了の6週間後にリュウェリンは交通事故で死亡してしまったため、本当に本作が彼の遺作となってしまった。
- オメガ「シーマスター ダイバー 300M」を着用。文字盤が点灯し、非常灯となる。また、フックのついたワイヤーを発射し、それを巻き取って身体を持ち上げ脱出する、といった機能を持つ[1][2]。
- ボンドカーとしてBMW・Z8が使用されるもヘリコプターカッターにより真っ二つに切断される。あまりにも無残なボンドカーだが、真っ二つになった車はシボレー・コルベットに精巧な模型を被せた物である。なお、この作品以降BMW社が英国ローバー社の経営から撤退したため、BMWは使われなくなった。
- 映画の冒頭ではボンドカーのBMWZ8以外に、Qボートが登場する。装備は、潜水機能やジェットエンジン、最新型魚雷、ロケット発射機、GPS人工衛星追跡機能など。また、地上での走行シーンもある。
- またこのボートの登場シーンは当初、オープニング・クレジットの直後に登場する予定だった。しかし、試写会の後の批評ののちに、クレジットの直前に変更された。そのため、歴代の作品の中でアバン・タイトルの時間が一番長い。
- ボンドのスキースーツはエスケープポッドとなっていて、ボンドとエレクトラはこれで雪崩から逃れた。他のQの特殊装備は、クレジットカードから飛び出すロックピックやX線メガネなどがある。
- ズコフスキーの杖は銃になっている。
- 歌手の森川美穂もチョイ役として登場する。
- 「ワールド・イズ・ノット・イナフ」(世界を手に入れてもまだ足りない)はボンド家の家訓。劇中でもボンドが囚われ拷問されているさいに口走っている。『女王陛下の007』ではボンドが紋章院を訪ね、この語句が書かれた紋章が先祖のものだと教えられるくだりがある。
- 日本公開版のみ、エンディングテーマソングがLUNA SEAの「Sweetest Coma Again feat.DJ KRUSH」に変更されている。
- エンドクレジット直前に「JAMES BOND WILL RETURN」の文字が入っている(通常はエンド・ロールの最後に「次回作でまたお会いしましょう」という日本語字幕と共に表示されている)。
- デニス・リチャーズは本作でゴールデンラズベリー賞の最低助演女優賞を受賞する結果となった。
- NINTENDO64のゲームソフト、ゴールデンアイは有名であるが、本作を題材にしたNINTENDO64ソフトも存在することはあまり知られていない(日本では未発売のため)。システムなどはほぼ同一であるが、発売元はレア社ではなくエレクトロニック・アーツ。
- レナード役にゲイリー・オールドマンが候補になっていた。
日本語吹き替え[]
役名 | 俳優 | ソフト版 | テレビ版 |
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ボンド | ピアース・ブロスナン | 横島亘 | 田中秀幸 |
エレクトラ | ソフィー・マルソー | 山崎美貴 | 佐々木優子 |
クリスマス | デニス・リチャーズ | 藤貴子 | 佐藤あかり |
レナード | ロバート・カーライル | 諸角憲一 | 古川登志夫 |
M | ジュディ・デンチ | 森田育代 | 沢田敏子 |
マニーペニー | サマンサ・ボンド | 加藤優子 | 佐藤しのぶ |
Q | デスモンド・リュウェリン | 田口昂 | 北村弘一 |
R | ジョン・クリーズ | 島香裕 | 塚田正昭 |
ズコフスキー | ロビー・コルトレーン | 手塚秀彰 | 玄田哲章 |
ビル・タナー | マイケル・キッチン | 御友公喜 | 福田信昭 |
- ソフト版 - 2000年8月4日発売ビデオ・DVD 特別編、2006年11月22日発売 DVD アルティメット・コレクション
- 翻訳 - 宮川桜子
- テレビ版 - 2003年2月放映 テレビ朝日『日曜洋画劇場』
- 翻訳 - 平田勝茂
参照[]
関連項目[]
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